映画「メキシカン・スーツケース」
スペイン戦争時に3人の写真家ロバート・キャパ、ゲルダ・タロー、デヴィッド・シーモアが撮影した写真のネガが第二次大戦初期に行方不明となり、2007年にメキシコで発見された。これらのフィルムが辿った年月を追ったドキュメンタリー映画である。3人の写真家に関わった人々やフィルムと同じようにスペインからメキシコに逃れた人々へのインタビューを一方に並べ、他方でスペイン戦争を生きた人々の孫の世代が戦争や戦後のフランコ独裁の中で死んだ祖父母の遺骨を収集する運動をはじめている様子を描いている。
隣人どころか肉親までもが敵味方に分かれて戦ったスペイン戦争。それゆえ戦後70年以上を経た現在でもスペイン人たちはあの戦争のことを語り辛い、語れないと言う。マラガの語学学校で担当してくれた20代の先生たちも言っていた。スペイン戦争を迂闊に話題にすることはできない。親戚の中にフランコ派だった者もいれば共和派もいるし、友人の祖父母もどちら側だったか分からないのだからと。
この映画は、だからこそ過去を常に思い起こし、繰り返し過去を問い直す必要があると言っている。これはスペインに向けられた言葉であると同時に、日本にも突きつけられるものだろう。歴史を覆い隠し、忘れ、改竄しようとする人々が声を高くしている現在なのだから。
新宿シネマカリテで10:15からと20:50からの2回上映中。
por Andrés
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