総選挙のもたらすもの
今回の総選挙、各種メディアによる事前予測では自民党の圧勝、与党で三分の二以上、自民党単独で三分の二以上の可能性も、となっている。
予測通りの結果となった時、もたらされるのは「戦後民主主義の終焉」だ。私は共産党や社民党をはじめとしたいわゆる左派やリベラル派などのように、「戦後民主主義」は何をおいても守らなけらばならないものだとは考えない。ただ、これに代わるもの、あるいはこれに代わるものへの道筋が見出せない間は、まだましなシステムとして許容しようと考えるだけだ。
しかし安倍政権のこれまでの言動から明らかなのは、彼らは総選挙後に一層「戦後民主主義の破壊」を推し進めるだろうということだ。自民党に投票する有権者の多くは、安倍自民党の政策を全面的に支持しているのではないだろう。原発再稼働に反対している人も多いだろうし、集団的自衛権行使容認に賛成できない人もいるだろう。それはどの政党に投票する人も同様だ。この部分の政策には賛成で別の部分の主張には反対だが、総じて自分の考えに最も近いからこの党に投票する。これが一般的な投票態度だ。それは政党政治や代議制の避けようのない欠陥なので、現状では甘受するしかない。しかし安倍自民党だけは別だ、と断言しなければならない。
今、彼らは消費税引き上げ延期の是非やアベノミクスの評価を問う選挙だと喧伝している。しかし、彼らが選挙の勝利を「安倍に対する全面的かつ無条件の信任」とみなすだろうことは明白だ。有権者がどう考えたかとか、自民党の得票率がどうだとかいったことはすべて無視されるだろう。この2年間がそれを証明している。そして民主主義は終わる。
「民主主義」などより今の生活が大事。景気が回復し、仕事が手に入り、給料が上がるならいいじゃないか。株価が上がっても自分は株主じゃないから儲かったわけじゃない。景気が良くなったといっても一部の大企業だけで自分には関係ない。仕事が増えたと言っても非正規ばかり。給料の金額は増えたが物価はそれ以上に上がった。アベノミクスからは何の恩恵も受けていない。それでもひょっとしたら1年後には、2年後には少しは良くなるかもしれない。野党は具体的な経済政策を出していないのだから、自民党に賭けてみるしかないじゃないか。
万が一この賭けに勝ったとしても、手に入るのはどんな社会なのだろう。
por Andrés
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