ある正月風景
1月4日(日)昼、新宿高島屋。
昇りのエレベーターを待っていた。降りがやってきて扉が開く。2歳くらいの子供を乗せた乳母車を押して父親らしい男がエレベーターから出てくる。パンフレットのような冊子がエレベーターの扉のレール上に落ちる。男はそれに目をやるが、そのまま立ち去る。エレベーターの出入口付近に立っている乗客の何人かも落ちた冊子を一瞥する。両側から閉まってきた扉に冊子が挟まり、扉は開いてしまう。出入口付近の乗客の何人かが冊子に目をやる。誰も動かない。私の前に立ってエレベーターを待っている客たちも動かない。間もなく扉が再び閉まってくるが、冊子が挟まってまた扉は開いてしまう。私は出て行って冊子を拾う。扉は閉まり、ようやくエレベーターは降りて行った。
落としたごみを拾わない人などいくらでもいる。
自分に直接関係ないことには無関心な人もいくらでもいる。
しかしこの場にいた人々は別種だ。乗客はエレベーターが動かないと困る。待っている人たちも困る。自身が被害を受けているにもかかわらず、彼らは一歩も動かない。ちょっと足でずらすだけで状況は変わるのに、無表情で冊子を見ている。誰かが何とかしてくれるのを、ただじっと待つだけ。
森達也は昨年末の総選挙を前にして「この国は絶望が足りない」(http://politas.jp/articles/307)と書いた。だが、この国は絶望に値するのだろうか。
por Andrés
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