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カテゴリー「文化・芸術」の5件の記事

2014/01/10

歌舞伎「壽三升景清」

新橋演舞場で市川海老蔵の通し狂言「壽三升景清(ことほいでみますかげきよ)」を観た。歌舞伎を劇場で観たのは初めて。思っていたよりはるかに面白く楽しめた。何しろ初めてなので、これが初春花形歌舞伎だからなのか、演目や演出によるものなのか、海老蔵だからなのかは分からない。役者たちについては特別に感じるところはなかったが、三味線や唄、特に三味線は流石と感心させられた。

芸能なので、レヴューや宝塚歌劇などと同様、その場で楽しめれば十分というもので、それ以上を求めるべきではないのだろう。娯楽としては良く出来ていると思うが、何しろ入場料が高いので数年に一度観るのがせいぜいではないか。

それにしても、平日の昼間なので観客に現役世代が少ないのは仕方ないとしても、9割方が女性というのは江戸時代からの芝居の伝統とばかりは言えないだろう。映画館でもコンサート会場でも美術館でも同様なのだから。男たちはいったいどこに行っているのか。

por Andrés

2013/02/27

エル・グレコ展

東京都美術館で開かれている「エル・グレコ展」を観てきた。入場前に西洋美術館の学芸員の方から1時間半ほどの解説があった。

ギリシア人のグレコは、イタリアでの修業後にスペインに渡り、そこで独自の画風を維持した誇り高い画家で、注文主の意向に逆らうことも少なくなかったこと。祭壇画などの大作のレプリカをいくつも残しているが、必ずしもレプリカの方が価値が低いというわけではなく、「工房」として作品を制作していた当時においては、むしろ小品のレプリカの方こそがグレコの真筆の可能性があること。東方教会の文化の中でイコン画家として出発したグレコがカトリックのスペインで大成した経緯など興味深い講演だった。

展覧会は、東京でのこの手のものとしては混み方は少なかった。

最近はグレコがどうにも好きになれない。若い頃、もう30年以上も前になるが、トレドでグレコの作品にはじめて直に接した時は、相当気に入ったのだが。縦にデフォルメされる人物像だとか燃え上がる炎のようにねじれて上昇する構図が気に入らないのではない。どれもが「粗製乱造」のように見えてしまうのだ。

というわけでグレコの作品よりも解説の方に興味を引かれるという本末転倒の展覧会になってしまった。

por Andrés

2013/02/06

「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展

横浜美術館で行われている「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展に行ってきた。3日(日)にNHKで「沢木耕太郎 推理ドキュメント 運命の一枚~"戦場"写真 最大の謎に挑む~」が放送されたばかりなので混雑を心配していたが、空いていてゆっくり見ることができた。C6347ae21

キャパといえばこの「崩れ落ちる兵士」が有名で、3日のNHKの番組もこの写真にまつわる物語だった。

しかし今回の写真展は「ロバート・キャパ」という名を共有したキャパ(本名アンドレ・フリードマン)とゲルダ・タロー(本名ゲルタ・ポホリレ)、この二人のもの。

ゲルダの写真家としての生涯はほぼすべてスペイン戦争の中にある。キャパ(アンドレ・フリードマン)はスペイン戦争からはじまって日中戦争、第二次世界大戦、インドシナ戦争までが活動の舞台だった。

彼らの作品からは戦争の悲惨さが、それも単に血が流されることや命が失われるということだけではなく、「敵」も「味方」も「人間性」を失くしてしまうことの惨たらしさが伝わってくる。

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「ドイツ兵との間にもうけた赤ん坊を抱いて家に帰る若い女性、シャルトル、フランス」1944年8月18日

勝者と敗者、昨日までの敗者と勝者。

ここに頭髪を丸刈りにされた若い女性がいなければ、人々はナチスからの解放で喜びの笑顔を湛えた美しい表情を見せていただろう。

ユダヤ人だったキャパはナチス・ドイツの敗北を誰よりも喜んでいたはずだ。にもかかわらず彼はここで、「味方」の醜さを描き、戦争の酷さを深く表現している。

そんなキャパでも、イスラエル「建国」に際してはユダヤ人の方にだけ目を向け、「イスラエル建国」によって強制的に追い出され移住させられたパレスチナ人を100パーセント無視していた。

キャパの限界。この言い方は厳し過ぎるだろうか。

por Andrés

2007/11/29

Celtic Woman コンサート

 朝9時から何度も電話して手に入れた「ケルティックウーマンコンサート」のチケットをかかえて、27日の夜に渋谷の文化村オーチャードホールに行ってきました。人気のグループなので、座席はもちろん満員。通院で遅くなりお腹をすかせた状態でしたが、美しい歌声、ハーモニー、フィデルの奏でるケルト独特のメロディーに聞きほれていました。フィデルが回し役になって次々に歌と演奏が続き最後に「レイズミーアップ」、あの透き通る独特の歌い方、素敵でした。まさに天使の声です。S席でしたが後ろの方の席で顔がよく見えなかったのでこの次はオペラグラスを用意していきます。プログラムを見るとかわいくてきれいなのに見られなかったのがとても残念だったので・・・。
 演奏がすべて終わると、会場案内がないのに周辺の観客がそそくさと引いていき階段も通路も人だらけ。座席でゆっくり帰り支度をしながら余韻を楽しむなどという時間はありませんでした。プロの演奏会の後ってこんな風なのでしょうか。
 文化村を出ると怪しげなホテルやお店の連なる通り。雑踏にもまれているうちに、心もざわついてさっきの美しい音楽はどこかに行ってしまいそう。非日常の快い世界を上手に現実にコミットさせるのって難しいです。
Por Amelia

2007/11/17

吉永晴彦個展 Transparent obscurities

 シルクスクリーンのみの展示。4~5展の緑を主としたもの以外は、飴色でのモノトーンの作品。いずれの作品からも制作活動の充実ぶりが伝わってくる。青森トリエンナーレで3位に入賞したそうで、入賞作は展示できないが、やはり今回の個展のものと同系統だとのこと。静謐な中に優しい生命力が確かに存在していると感じさせられる。須賀敦子のエッセイを読んだ時に包まれる感覚に似ていると言えば、作品の雰囲気が伝わるだろうか。小さな個展であるが、銀座に行くついでがなくても観に出かける価値のあるものだと思う。残念なことに会期は今日までだったが、この作家の名を記憶にとどめて次に触れられる機会を待ってほしい。
por Andres

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